シンクロトロン施設やXUVビームラインでは,放射線の計測に超高性能の回折格子が必要となる。HJYのイオンエッチング法によるラメラー型ホログラフィック回折格子は,迷光や回折効率において,また高調波ノイズの低減によって,非常に高い性能を発揮する。用途によって異なる種類のVUV回折格子を様々な形状(平面,球面,円筒状,環状)や溝密度(等間隔型,収差補正型またはFigure 4の間隔変化(VLS)型)で製造することが可能である。
溝間隔変化型回折格子は,多項式型法則によって定義される溝密度の変化を示す。この種の回折格子は,グレーティングモノクロメーターの焦点のぼけを補正する目的でシンクロトロンビームラインの設計に広く使われている。HJYはソレイユシンクロトロン(The Synchrotron SOLEIL)と共同で,ホログラフィックレコードのジオメトリーを定義するソフトウェアツールをVLS回折格子向けに開発した。これにより任意の多項式型VLS法則に基づく回折格子の製作が可能となった。
VUV回折格子の分野では、ある大きなイノベーションにHJYが参画しました。溝深さ変化型(VGD)回折格子です。VGD型はフランスのソレイユシンクロトロンとの共同開発によるもので、VUV回折格子の溝の深さに調整を加えたものです(Figure 5)。
VGD回折格子は、溝深さの値(h)をh-minからh-max(h-minの3〜4倍)に調整することで、連続的なブレーズ波長の補正と高調波ノイズの修正を同じ分散値(同じ溝密度)で行うことが可能です。このため、刻線領域の一方の端から他端まで、溝深さが連続的に変化します。結果として、回折格子のエネルギーレンジの拡大がVGD回折格子の変換によってのみ行われることとなり、従来のHJY製イオンエッチング式ホログラフィックVUV回折格子の高い性能は維持されます。Figure 5に示すように、異なる溝深さの値(h)によって、エネルギーレンジにおける最大効率を変化させることが可能です。
Figure 5 Variable Groove Depth(VGD)grating
UV and Soft X-ray Gratings