光学顕微鏡での観察だけでは細胞間の違いを識別できませんが、多変量解析による成分抽出やクラスタリングによる分類、さらにそれらを座標軸上にプロットすることで、細胞の相違が可視化できるようになりました。 将来的には、ES 細胞やiPS 細胞において分化の状態が異なる細胞の判別や細胞の品質評価への応用が期待されます。
倒立型顕微レーザーラマン分光測定装置
倒立型顕微レーザーラマン分光測定装置
体外診断用医薬品( IVD in vitro diagnostics )は、ラテックス粒子などのナノスケールの粒子を担体として生体内物質の抗原抗体反応による凝集を用いて診断を行います。 一方で自己凝集や検査対象物以外との凝集は使用期間の短期化や誤った診断につながるため、凝集性は厳密に管理する必要があり、分散性・安定性評価の観点から、その定量を求められています。 二量体は体積比で元の粒子径の1.26倍になり、その分量を見分けられるかが重要です。 100 nmのPLS粒子とその二量体と同じ体積であるPLS粒子を用い、二量体が存在しているときに判別できる性能があるかどうかを模擬的に確認しました。 その結果、サイズに一量体と二量体レベルの差しかないナノ粒子の混合比の違いをメジアン径の違い・分布の違いから、見分けることができることがわかりました。
100nmPSL(標準粒子)と125nmのPSLの混合比を10%ずつ変えたものを、メジアン径の違い・分布形状の違いから、見分けることができました。
【粒度分布】レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置 LA-960シリーズ
ラマン顕微鏡を用いて、浮遊細胞ミエローマを測定した事例です。スペクトルは一見類似しているように見えますが、特徴的領域から分子構造の違いを読み取り、細胞内組織ごとにイメージング画像を取得しました。 ステージを固定したまま、試料上でレーザを走査することにより、マッピング測定ができるDuoScan システムは、接着性を持たない浮遊細胞のマッピング測定に最適です。
倒立型顕微レーザーラマン分光測定装置
添加した薬剤が、細胞内で代謝される様子を観察するために、ヒト巨核芽球性白血病細胞 MEG-01 に抗炎症薬HQL-79 を添加し、薬剤の分布の変化をラマン分光分析装置で確認しました。 従来は蛍光標識を用いて確認していましたが、ラマンイメージングにより、抗炎症薬の作用前後で薬剤が核膜に沿って円状に局在する分布の変化を確認できました。
倒立型顕微レーザーラマン分光測定装置
レーザトラップ:集光されたレーザビームの焦点付近で強い電場勾配によって引き起こされる力を使い、焦点面に粒子・細胞・リポソームを捕捉します。
胃潰瘍の治癒にはZn 成分が関わっていると言われています。 胃潰瘍になったラットにZn を含んだ薬剤を経口投与し、胃を取り出してホルマリンに漬けた後、フィルム挟み分析を行いました。その結果、元素マッピング像から潰瘍辺縁部の微量元素を確認できました。
微小部X線分析装置 (X線分析顕微鏡)
エクソソームはさまざまな細胞から分泌される直径100 nm程度の細胞外小胞で、バイオマーカーとしての応用が期待されています。 エクソソームの分離・精製には、超遠心や限外ろ過などの手法が利用されますが、膜フラグメントやタンパク質凝集物などの夾雑物も含まれるため、エクソソームだけを見ることが難しいと考えられています。 超遠心法と PS※2アフィニティ法による精製を比較したところ、超遠心法精製(左図)では夾雑物も含んでいることが推測されますが、PS アフィニティ法による精製(右図)では、100 nm 付近にシャープな 分布が確認でき、高純度に精製されたエクソソームの粒子径と個数濃度の情報が得られ、精製状態の違いを確認できました。 ViewSizer3000は青、緑、赤色の3波長レーザを用いたワイドレンジ測定のため、このような粒子径分布が広い試料の測定に有効です。
(※1 PTA: パーティクルトラッキング法 ※2 PS:ホスファチジルセリン)
別の細胞分泌物から目的のエクソソームのみを蛍光標識し、個数濃度を測定を行いました。200nm付近に蛍光標識したエクソソームのピークが確認できました。また、全粒子の個数とエクソソームの個数を比較することで、濃度比も精度よく測定できました。 3波長の光源搭載により広範囲のナノ粒子径・個数濃度を同時に測定できます。動的光散乱法(DLS)では、検出しにくい低頻度の粒子情報の取得も可能です。
ナノ粒子径分布・濃度測定装置
バイオチップ表面に糖鎖結合タンパク質であるレクチン8 種とエクソソームマーカーであるCD9・CD63・CD81 のモノクローナル抗体を固定化し、ヒト血清由来のエクソソームを流すことで、エクソソームであることの確認と表層糖鎖のプロファイリングを行いました。 反応後のバイオチップ表面とインジェクション前の差分画像をリアルタイムに表示することで、リガンドとアナライトとの結合の定性的な結果が迅速に得られました。 また、反応速度論的パラメータを同時に求めることができ、相互作用による結合変化をリアルタイム、かつマルチチャンネルで計測できました。
SPRi(表面プラズモンイメージング)