高分子薬剤が腫瘍へ集積する特性をEPR(Enhanced Permeability and Retention)効果といい、治療的機能と診断的機能を併せ持ったTheranostics(Therapy + Diagnosis)製剤では、病巣へのEPR 効果を考慮して、リポソームの粒子サイズを20 ~ 200 nm になるように設計することが求められています。 nanoPartica SZ-100V2 でリポソームを測定したところ、光増感物質の含有量の増加に伴い、粒子径分布がブロードになるとともに、算術平均径も増加する結果が得られました。 これより、「脂質二分子膜を再構成する光増感物質の含有量」と「リポソームの粒子径」に関する知見(EPR 効果に関する)を得られることがわかりました。
( DDS:ドラッグデリバリーシステム)
◉本測定は千葉大学大学院医学研究院生命情報科学菅波先生、田村先生のご協力のもと行われました。
生体吸収性ハイドロゲルは、DDS 用材料として、低分子薬物の徐放キャリアや細胞を内包させて組織再生を促す再生医療への利用が期待されています。 徐放制御のプロファイリングには、ゲルの網目サイズと温度変化に伴う網目サイズの変化を把握してゲルを設計することが必要です。 これまで網目サイズの測定は、中性子散乱といった大型施設での分析か、ゲルを急速凍結してクライオ走査電子顕微鏡で観察するといった材料本来の構造のままでは分析できない手法でした。 nanoPartica SZ-100V2 のゲル解析ユニットを使うことで、ゲルの網目サイズが変化することを確認できました。
ナノ粒子解析装置