バイオ・ライフサイエンス


HORIBAでは、バイオライフサイエンスの領域で研究開発用途の分析技術を提供するとともに、プロセス管理に貢献できる技術も提供しています。それらを駆使し、お客様のニーズに合わせたカスタマイズ技術の提案、高品質な連続生産実現のために幅広い分析・計測ソリューションを提供します。

HORIBAでは、バイオライフサイエンスの領域で研究開発用途の分析技術を提供するとともに、プロセス管理に貢献できる技術も提供しています。




バイオ・ライフサイエンス分析のソリューションをまとめたBio Navi(PDF)のダウンロードはこちら

細胞・生体試料の分析


がん細胞のがん化判別


光学顕微鏡での観察だけでは細胞間の違いを識別できませんが、多変量解析による成分抽出やクラスタリングによる分類、さらにそれらを座標軸上にプロットすることで、細胞の相違が可視化できるようになりました。 将来的には、ES 細胞やiPS 細胞において分化の状態が異なる細胞の判別や細胞の品質評価への応用が期待されます。
がん細胞のがん化判別図
◉本測定は、一般財団法人京都工場保健会 丸中先生のご協力のもと行われました。
倒立型顕微鏡ラマン分光装置 XploRA INV

細胞内小器官観察


ラマン顕微鏡を用いて、浮遊細胞ミエローマを測定した事例です。スペクトルは一見類似しているように見えますが、特徴的領域から分子構造の違いを読み取り、細胞内組織ごとにイメージング画像を取得しました。 ステージを固定したまま、試料上でレーザを走査することにより、マッピング測定ができるDuoScan システムは、接着性を持たない浮遊細胞のマッピング測定に最適です。
ミエローマ細胞のラマンイメージング・スペクトル
倒立型顕微鏡ラマン分光装置 XploRA INV

抗炎症薬の分布観察


添加した薬剤が、細胞内で代謝される様子を観察するために、ヒト巨核芽球性白血病細胞 MEG-01 に抗炎症薬HQL-79 を添加し、薬剤の分布の変化をラマン分光分析装置で確認しました。 従来は蛍光標識を用いて確認していましたが、ラマンイメージングにより、抗炎症薬の作用前後で薬剤が核膜に沿って円状に局在する分布の変化を確認できました。
抗炎症薬の分布観察図
倒立型顕微鏡ラマン分光装置 XploRA INV

顕微ラマン分光分析装置のPoint

  1. 試料の前処理を必要としないため、細胞の破壊や固定することなくそのままの状態で観察可能
  2. 染色不要。ラベルフリーで観察可能なため、蛍光で細胞を染色する方法に比べて細胞に対する毒性が低い
  3. 倒立型顕微鏡を搭載しているため、培養細胞を使った測定が可能。それにより生体分子のイメージング、細胞内分子のダイナミクスの観察が可能


光ピンセット(顕微レーザラマン分光測定装置用アクセサリ )


レーザトラップ:集光されたレーザビームの焦点付近で強い電場勾配によって引き起こされる力を使い、焦点面に粒子・細胞・リポソームを捕捉します。
光ピンセット(顕微レーザラマン分光測定装置用アクセサリ )

光ピンセットのPoint

  1. 水溶液中で粒子や細胞を捕捉(マイクロサイズ)
  2. DuoScan(ラマンイメージング機構)との組み合わせで細胞を捕捉しながらの
    マッピング測定が可能

顕微レーザーラマン分光測定装置 LabRAM HR Evolution

細胞の元素分析分布


胃潰瘍の治癒にはZn 成分が関わっていると言われています。 胃潰瘍になったラットにZn を含んだ薬剤を経口投与し、胃を取り出してホルマリンに漬けた後、フィルム挟み分析を行いました。その結果、元素マッピング像から潰瘍辺縁部の微量元素を確認できました。
細胞の元素分析分布図
◉ 試料ご提供:京都府立医科大学 臨床検査学 大塚健先生

微小部X線分析装置 XGT-9000のPoint

  1. 試料室大気下で測定できるため、生体試料などの含水試料も測定可能

微小部X線分析装置 XGT-9000製品ページへ

エクソソーム解析


蛍光PTA※1による エクソソームの精製確認

エクソソームはさまざまな細胞から分泌される直径100 nm程度の細胞外小胞で、バイオマーカーとしての応用が期待されています。 エクソソームの分離・精製には、超遠心や限外ろ過などの手法が利用されますが、膜フラグメントやタンパク質凝集物などの夾雑物も含まれるため、エクソソームだけを見ることが難しいと考えられています。 超遠心法と PS※2アフィニティ法による精製を比較したところ、超遠心法精製(左図)では夾雑物も含んでいることが推測されますが、PS アフィニティ法による精製(右図)では、100 nm 付近にシャープな 分布が確認でき、高純度に精製されたエクソソームの粒子径と個数濃度の情報が得られ、精製状態の違いを確認できました。さらに、蛍光ラベルと PTA を組み合わせることで、蛍光標識された目的のエクソソームのみを検出することも可能です。

(※1 PTA: パーティクルトラッキング法 ※2 PS:ホスファチジルセリン)
粒子の散乱光画像,超遠心法,PS アフィニティ法
ナノ粒子径分布・濃度測定装置 ViewSizer3000

ナノ粒子径分布・濃度測定装置 ViewSizer3000のPoint

  1. 個数濃度が測定可能
  2. キュベットセル内攪拌による高い再現性を実現
  3. セルの洗浄や交換が容易で、コンタミの危険性を抑制
  4. 三波長光源により、広い分布をもつ粒子や凝集体の測定が一度に可能
  5. 特定の蛍光標識を持つ粒子のみの粒子径分布の取得が可能


ラベルフリー生体分子間相互作用解析


モノクローナル抗体によるエクソソームマーカーの検出と表面糖鎖解析

バイオチップ表面に糖鎖結合タンパク質であるレクチン8 種とエクソソームマーカーであるCD9・CD63・CD81 のモノクローナル抗体を固定化し、ヒト血清由来のエクソソームを流すことで、エクソソームであることの確認と表層糖鎖のプロファイリングを行いました。 反応後のバイオチップ表面とインジェクション前の差分画像をリアルタイムに表示することで、リガンドとアナライトとの結合の定性的な結果が迅速に得られました。 また、反応速度論的パラメータを同時に求めることができ、相互作用による結合変化をリアルタイム、かつマルチチャンネルで計測できました。
エクソソーム結合量(レクチン),エクソソーム結合量(表面抗原)
SPRi 結果
SPRi(表面プラズモンイメージング) OpenPlex

ラベルフリー生体分子間相互作用解析 OpenPlexのPoint

  1. タンパク質 - タンパク質、DNA-DNA などの同種間の相互作用だけでなく、DNA- タンパク質、抗原 - 抗体など異種の分子間相互作用も計測可能
  2. 抗体 - 微生物、抗体 - 細胞といった細胞表面との相互作用も計測可能
  3. 192 スポットまで同時分析
  4. 蛍光標識不要


製剤(低分子医薬品)の分析


錠剤などの固形製剤

透過ラマン分光法による結晶多形判別


医薬品開発において、結晶多形の制御は、溶解度等の物性が異なることから重要な課題です。 ある条件下での結晶形が、別の結晶形に容易に転移することもあり、原薬製造工程では望まない結晶形の混入を避ける必要があります。 透過ラマン分光法(TRS)は、結晶多形に対する感度が高く、非破壊で結晶形のわずかな違いが観察でき、低分子医薬品中の結晶多形を識別可能です。
活性成分として異なる結晶形(フォーム I、II)を含む2種類のカプセルの透過ラマン微分スペクトル
透過ラマン

透過ラマンのPoint

  1. XRD など他の分析手法と違い、非破壊でサンプルあたり数十秒で測定が可能
  2. 試料の前処理が不要
  3. TRSなら数%の結晶多形も測定可能


錠剤含有物の均一性評価


顕微ラマン分光法は、高い空間分解能を有することから、医薬品や生体試料等の微小領域の組成・構造の違いによる可視化に有効で、特定成分の分散性評価や各成分の分布を面積比率として算出することも可能です。 高速マッピング機能「Swift」と高感度検出器「EMCCD」により、医薬品錠剤の状態の分布を高速、正確に確認できます。 共焦点性能が高いためクリアな微小成分イメージングを実現できます。
錠剤成分の均一性評価
錠剤各成分スペクトル
ラマン顕微鏡 XploRA PLUS

ラマン顕微鏡 XploRAのPoint

  1. 非破壊で迅速に広い範囲でマッピングと化学同定が可能
  2. 各成分の混合均一状態が可視化できる


錠剤中の薬効成分の迅速定量


NIR(近赤外吸収)法と比較して、高感度かつ一試料あたり数秒と短時間で測定できます。
薬効成分含有量の異なる錠剤のラマンスペクトル,UPLCおよび透過ラマンの分析結果
透過ラマン

透過ラマンのPoint

  1. 錠剤中の粒子径、混合均一性、厚み、水分、測定方向による影響を受けにくいため、再現性良く試料全体の成分比率が測定可能
  2. 数十秒で測定可能
  3. 消耗品や溶媒が不要
  4. HPLCといった湿式化学分析法とも相関があり、かつ非破壊で測定が可能


粉末試料の混合状態分析


ラマン顕微鏡で測定の前に手作業で粉末試料をプレパラート上に分散させる事は非常に難しく、粉末試料が塊になりますが、真空分散ユニットを使うことで誰でも簡単に試料を分散させることができます。 さらにラマン専用自動粒子解析ソフトParticleFinderを使うことで、各粒子のラマン分析ができ、混合物の各成分別粒子統計解析が可能です。
粉末試料の混合状態分析図
真空分散ユニット
粒子解析ソフト ParticleFinder

真空分散ユニットのPoint

  1. 粉末試料の分散が均一にできるようになった
  2. ラマン分光法と組み合わせることで一粒子単位での成分分析が可能


DDS製剤


DDS※3製剤用リポソームの開発


高分子薬剤が腫瘍へ集積する特性をEPR(Enhanced Permeability and Retention)効果といい、治療的機能と診断的機能を併せ持ったTheranostics(Therapy + Diagnosis)製剤では、病巣へのEPR 効果を考慮して、リポソームの粒子サイズを20 ~ 200 nm になるように設計することが求められています。 nanoPartica SZ-100V2 でリポソームを測定したところ、光増感物質の含有量の増加に伴い、粒子径分布がブロードになるとともに、算術平均径も増加する結果が得られました。 これより、「脂質二分子膜を再構成する光増感物質の含有量」と「リポソームの粒子径」に関する知見(EPR 効果に関する)を得られることがわかりました。

(※3 DDS:ドラッグデリバリーシステム)
表面薬剤含有量の違いによる粒子径分布
◉本測定は千葉大学大学院医学研究院生命情報科学菅波先生、田村先生のご協力のもと行われました。
ナノ粒子解析装置 nanoPartica SZ-100V2

ナノ粒子解析装置 SZ-100V2のPoint

  1. 高出力レーザにより、希薄サンプルでも高感度分析が可能
  2. HORIBA 独自のアルゴリズム採用でわずかな粒子径の差も検知


ゲル材料評価


生体吸収性ハイドロゲルは、DDS 用材料として、低分子薬物の徐放キャリアや細胞を内包させて組織再生を促す再生医療への利用が期待されています。 徐放制御のプロファイリングには、ゲルの網目サイズと温度変化に伴う網目サイズの変化を把握してゲルを設計することが必要です。 これまで網目サイズの測定は、中性子散乱といった大型施設での分析か、ゲルを急速凍結してクライオ走査電子顕微鏡で観察するといった材料本来の構造のままでは分析できない手法でした。 nanoPartica SZ-100V2 のゲル解析ユニットを使うことで、ゲルの網目サイズが変化することを確認できました。
CNF の網目サイズ測定結果
ナノ粒子解析装置 nanoPartica SZ-100V2

ナノ粒子解析装置 SZ-100V2のPoint

  1. 試作したゲルが即座に評価できる
  2. 不均一なゲルを評価する新たな指標に使え、ゲルの機能設計に有効
  3. 温調機能により、温度変化をさせながらゲルの網目サイズの変化が自動で測定可能


抗体医薬品の分析


高濃度液中でのタンパク質間相互作用解析 ~凝集を防ぐ抗体医薬品の最適な製剤条件探索~


タンパク質がある程度の高濃度になった場合、タンパク質の分子同士の相互作用によって構造変化や凝集などを引き起こし、医薬品としての効果も変化することから、抗体医薬品の製造・品質管理面でタンパク質構造の変化を確認することが重要となります。 そこでIgG 溶液を用い、疎水性のチロシン(Tyr)とトリプトファン(Trp)の構造変化をラマンスペクトルで捉えることで、タンパク質濃度と安定性の関係性を調査し、タンパク質が変性し得る濃度の閾値を特定しました。
Tyr に起因する 856 cm-1 と 830 cm-1 のピーク強度比
Tyr に起因する856 cm-1 と830 cm-1 のピーク強度比(チロシンダブレット)はIgG 分子同士の相互作用により濃度の増加と共に増大し、80 mg/mL を超える濃度で過飽和状態となりました。
Trp に起因する 1555cm-1 のピークの半値幅
Trp に起因する1555cm-1 のピークの半値幅が濃度の増加とともに増大することが確認されました。 これはタンパク質の濃度が高くなるとタンパク質分子同士の相互作用によってねじれ角が変化し、ねじれ角の分布の幅が大きくなることでピーク幅が広くなると推測しました。
◉ Ota et. al. Pharm Res.2016 33, 956-969
本測定は、東京大学工学部津本研究室のご協力のもと行われました。


顕微ラマン分光分析装置のPoint

  1. 試料を希釈することなく高濃度の状態で抗体医薬品の安定性が評価できる
  2. 高濃度試料の評価においてタンパク質の構造に関する情報が得られる

顕微レーザーラマン分光測定装置 LabRAM HR Evolution

抗体の凝集過程評価


加温前の抗体溶液の粒子径分布図ではほとんど凝集物が存在していませんが、装置に搭載されている温調機能を用いて試料を50ºC で120 分間加温すると、抗体の凝集物が形成し、数 100 nm の粒子(凝集物)の数が著しく増加する様子が測定され、内蔵CCD でも確認できました。
抗体の凝集過程

ナノ粒子径分布・濃度測定装置 ViewSizer3000のPoint

  1. 温調しながら測定可能
  2. 三波長光源により、凝集など広い分布の分析に最適
  3. キュベットセル内攪拌により、粒子濃度を均質な状態で再現性よく測定可能

ナノ粒子径分布・濃度測定装置 ViewSizer3000

タンパク質の構造変化過程のFRET※6蛍光モニタリング


タンパク質と蛍光プローブ(ANS)間で起こるFRET を観測することができました。経時的な分子の状態変化、分子間相互作用、反応過程の追跡をモニタすることが期待されます。

(※6 FRET: 蛍光共鳴エネルギー移動)
タンパク質の構造変化過程

蛍光吸光分光装置 DuettaのPoint

  1. 100 ミリ秒以下の時間間隔での高速スペクトル測定を実現
  2. 1,100nm までのスペクトル測定が可能
  3. 蛍光と吸光が同時に測定可能

蛍光吸光分光装置 Duetta

プロセスモニタリング​


独自開発したラマンプローブを反応槽への取り付けることで、重合反応プロセスなどのリアルタイムモニタリングが可能になりました。 また、分析室に光源・分光器を設置し、ファイバー接続で反応槽に導入するため、集中管理室など遠隔でデータを管理できます。 反応槽への浸漬プローブや、分析窓越しの測定など測定対象に合わせたプローブ設計が可能です。

時間経過によるスペクトルの変化,時間経過による各成分濃度の変化
プロセスラマンシステム
バイオリアクター

プロセスラマンのPoint

  1. 赤外吸収や近赤外分光法では致命的な障害となる水の影響が問題とならず、含水試料を測定できる
  2. 最大4系統まで測定が可能、微量成分の検出も可能
  3. ラマンのスペクトルは特徴的であり、水分量・粒子径・粒子密度の変化による影響も少ないことからNIRより解析が容易


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