表面処理・トライボロジー研究に関するHORIBAのソリューション
HORIBAは、深さ方向元素分析装置(GD-OES)やラマン分光分析装置、またそれのナノレベルの解析までを可能にしたAFMラマンなど多くの表面分析装置をラインアップしており、各種デバイスの高性能化や高機能材料の開発に貢献する分析を支えています。

- Cu箔基板上のNiめっき中の水素分析 ― グロー放電発光表面分析装置
- めっき液成分濃度管理 ― 蛍光X線分析装置
- 鉄鋼板上めっき皮膜中酸素分析 ― 酸素・窒素・水素分析装置
- めっき(リン酸アルミ皮膜)ムラの確認 ― 微小部X線分析装置
- 腐食生成物の組成分析 ― ラマン顕微鏡
- 金属板表面の粒子吸着性評価 ― ナノ粒子解析装置
- めっきサンプル表面の仕上がり確認 ― 高光沢グロスチェッカ
- DLC膜中の水素量判別 ― グロー放電発光表面分析装置
- 摺動前後におけるDLCの特性評価 ― ラマン顕微鏡
- 2Dナノマテリアル(二硫化モリブデン)の分析 ― AFMラマン
- 潤滑油中の摩耗粉の粒子径測定 ― レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置
- 試料表面温度の連続モニタリング ― 放射温度計
表面処理(めっき/腐食)
Cu箔基板上のNiめっき中の水素分析
めっきの密着性を左右する界面の水素の分析が可能です。
(a)(b)は電析Cu箔基板上に電析法でNiめっきをし、その上にまた電析法でCuめっきをした断面図です。断面①②はFIBで切り、その面を同じFIBのSIM像として撮影したものです。界面①は密着性が高く、界面②は①同じCuとNiであるにもかかわらず、密着性が低くなっていましたが、これは界面②に水素がたまっているためであることがGDSによる分析でわかりました。
めっき液成分濃度管理
希釈などの前処理不要。人的誤差なく迅速な測定が可能です。
金やニッケルなど主成分の濃度変化をオフライン・インラインで測定可能です。
鉄鋼板上めっき皮膜中酸素分析
昇温分析により、めっき皮膜中の酸素のみを分離して測定できます。
めっきの色や皮膜の密着性に影響する酸素濃度を測定することができます。これまでの鉄鋼中の酸素と混合されてしまい、めっき皮膜のみに含まれる酸素濃度が分からない、めっき膜が薄いため削り出しは難しいうえに、めっき皮膜を削り出しても重量が少なく測定が難しいといった課題を解決します。
めっき(リン酸アルミ皮膜)ムラの確認
非破壊で元素マッピングが可能です。
酸化防止用途で塗布されるリン酸アルミは、不適切な場所に塗布されると製品不具合を生む危険があるため、塗布状態の確認が必要です。目視での判別は困難ですが、XGTなら非破壊でリン(P)の分布状態をマッピング分析から把握することができました。
腐食生成物の組成分析
鉄さびの化学種を判別することで腐食挙動が解析が可能です。
ラマン分光装置ならSEM-EDXではわからない酸化物の組成や水酸化物との区別が可能です。また、XRDでは不可能な10μm以下の微小領域での測定が可能です。凹凸のある試料でも分析したい箇所を高空間分解能で測定できます。
金属板表面の粒子吸着性評価
めっきしたアルミ基板表面のゼータ電位測定が可能です。
金属板表面の帯電状態を調べることで金属表面への粒子やイオン吸着性評価、塗装性や研磨性能を知ることができます。ゼータ電位(帯電をあらわす値)溶液中における固体表面の評価がよく利用されます。粒子の移動速度によりゼータ電位が求められ、モニター粒子と板表面との静電的な相互作用により生じる粒子の移動速度の変化から、板表面のゼータ電位を知ることができます。
めっきサンプル表面の仕上がり確認
小型・軽量のハンディタイプで誰でも簡単に光沢測定が可能です。
金属用光沢計IG-410は、めっきやアルミ、ステンレスなど、高光沢領域のサンプル表面の光沢測定が可能です。小型・軽量で操作も簡単なため、生産現場などに持ち込んで誰でも簡単に表面の仕上がり状態を評価することができます。
トライボロジー(DLC・摺動試験・潤滑油)
DLC膜中の水素量判別
めっき、コーティング、DLC中の元素の深さ方向分析が水素から可能です。
ステンレス上に施されたNipめっきのベーキング前後の水素のプロファイルに大きな違いが見えます。ベーキングにより水素が放出されたことが分析できました。
摺動前後におけるDLCの特性評価
ラマン顕微鏡ならDLCの特性解析が可能です。
非破壊・非接触でG-bandとD-bandのピーク強度比やピーク位置を確認でき、DLCの膜質を簡単に評価できます。また、サブミクロン空間分解能で構造解析も可能です。
2Dナノマテリアル(二硫化モリブデン)の分析
TERSによる二硫化モリブデンフレークの評価が可能です。
二硫化モリブデンの多層膜の層ごとの結晶性、位置ごとの層数の違いが判別できます。また、AFM機能による表面形状・物理情報とラマンによる化学情報と同時に取得できます。TERS測定ではnmオーダーの位置分解能でラマン分光測定が可能です。(Tip- Enhanced Raman Spectroscopy : TERS)
潤滑油中の摩耗粉粒子径測定
摩耗粉など潤滑油・作動油中の粒子径測定が可能です。
コンディショニングモニタリングの油中摩耗粉の粒子の大きさを測定することで機械の劣化進行状態の判別が可能です。ペーストセルを使用することで、試料を溶剤で薄める必要なく、グリスをそのままセットして測定が可能です。
試料表面温度の連続モニタリング
USBケーブルでパソコンと接続するだけでサンプル表面温度の連続モニタリングが可能です。
非接触のため回転体の温度測定も可能です。DLC膜の基本特性評価、摺動面の連続温度測定など、各種試験時の温度モニタリングに活用いただけます。